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「首が痛い...」その原因と対策を整形外科医が解説!

首の痛みは、当院の患者様でも受診理由として非常に多い疾患の一つです。 特に、コロナ禍で、運動習慣の減少などの結果、より首の痛みの訴えを持つ人が増えているようです。

そこで、今回は、首の痛みについて、その原因や疾患、対処法を解説させていただきます。

首の構造について

人間の首は、体重の約10%を占める頭部を支えながら、前後左右に屈伸させたり、頭部を回転させたりと、とても複雑な動きをすることができます。
そのため、非常に負担がかかりやすく、痛み症状が出やすい部位です。

首は7つの骨(頸椎)が重なり合い、頸椎同士が重なる部分には、クッションの役割を果たす椎間板と椎間関節という部位があります。

そして、それぞれの重なりあった頸椎がお互いに複雑な動きをすることで、複雑な動きを可能にしています。

また頸椎の中央には、神経の幹である脊髄が通っています。その脊髄が枝分かれしが神経が、主に肩や腕に伸び、感覚や運動を司っています。

首に痛みが生じる原因

首の痛みをもたらす主な原因は「筋肉が原因の痛み」「椎間板や関節内が原因の痛み」「神経が原因の痛み」に分けられます。

「筋肉や靭帯が原因の痛み」について

上述したように、首は、非常に重い頭部を支えていることで、首を支える筋肉に負担がかかり、筋肉が硬くなったり、筋肉の血液循環が悪くなることで痛みが発生します。

特に同じ姿勢でいることが、最も首に負担をかけてしまいます。

現代人は、特にパソコンやスマートフォンを長時間同じ姿勢で見ることが多いので、意識的に首を同じ姿勢にしないように対策する必要があります。
メガネの度数が合っていない、歯のかみ合わせが悪い等が、肩こりの遠因となる場合もあります。

また、頸椎を支える靭帯が変性することで痛み症状を発生する場合があります。

《代表的な疾患》
  • 肩こり、首こり
  • 後縦靭帯骨化症・黄色靭帯骨化症

「椎間板や関節内が原因の痛み」について

頸椎が重なり合う部分を椎間関節と言いますが、関節内や椎間板内にストレスが加わることで炎症を起こしたり、変形を起こしたりすることで痛みを生じます。

《代表的な疾患》
  • 変形性頸椎症
  • 頚椎捻挫・外傷性頚部症候群

「神経が原因の痛み」について

首への負担や、加齢に伴い、頸椎が変形したり、椎間板ヘルニアと言って椎間板が突出するなどして、首の周りの神経を圧迫することによって発生します。

この場合は、感覚に障害が出るケースが多く、日常生活では服のボタンが止めにくくなったり、手に痺れが出たりします。

神経症状を放っておくとさらに悪化する可能性があるため、感覚障害が出たらできるだけ早く医療機関を受診しましょう。

《代表的な疾患》
  • 頚椎症性脊髄症
  • 頚椎椎間板ヘルニア
  • 頚椎症性神経根症

その他

その他、首の痛みは、髄膜炎や偽痛風といった疾患によっても生じることがあります。

《代表的な疾患》
  • 頚椎偽痛風
  • 髄膜炎

首の痛みに対する治療

生活習慣の見直し、生活指導

首の痛みは、日常生活での首の負担が要因であることが多いです。
そのため、首に負担がかかりにくい姿勢をとるように意識したり、首や肩を回して首の周りの筋肉を緩めることを行うだけでも改善されるケースがあります。

ただし、痛みがあまりに強かったり、運動によって症状が悪化するようなことが見られたら、自己判断で運動せず、専門医の診察を受けましょう。

保存療法

痛みが強い場合は、医療機関で、鎮痛薬などで痛みを緩和させます。
また、リハビリテーションとして、首の周りの筋肉をほぐし、循環を改善するための電気療法や温熱療法を行ったり、運動療法(当院では理学療法士が担当します)を行うことで、首の関節や筋肉の状態を改善させることで症状緩和を目指します。

手術療法

保存療法のみでは、症状が改善しない、もしくは、強い神経症状などが見られる場合は、手術を選択する場合もあります。ただし、首は、非常に複雑な部位であるため、手術では完全に症状を改善できない場合もあります。

「首の痛みはしょうがないもの」と、放置せず医療機関を受診することをお勧めします。

首の痛みに効く運動(※)

ここでは、首の「筋肉が原因の痛み」に効果の期待できる運動を紹介します。

頸部周囲の筋力トレーニング

《方法》
  1. 低めの枕やタオルに頭をのせて仰向けで寝ます。
  2. 軽く顎を引き、その状態で後頭部で優しく枕をつぶすように押していきます。
  3. 上記の運動を10回×3セット行います。
《注意点》

痛くない範囲で行い、痛みが出る場合はすぐに運動を中断し、医師又は療法士にご相談ください

監修 上妻整形外科 院長 上妻 隆秀